圓福 第88号
謹啓 今年の冬は、暖冬でしたが、急激に冷え込む厳しい寒さがあり、その為、かえって体調を悪くする方も多かったと聞きます。皆様におかれましては、如何お過ごしでしょうか、お伺い申し上げます。
今回も、法然上人のお言葉から、私達の日常生活が、明るく、楽しく暮らせるように、心の持ち方、あり方を学びたいと思います。
地(じ)体(たい)は、生きとし生けるものは、過去の父母(ちちはは)にて候(そうろう)なれば、食うべき事にては候(そうら)わず。
「日々、私たちが食している生きとし生けるものは、自身の前世における、父や母の生まれ変わりかも知れませんから、本来は、食べるべきではありません。」
食の安全と言われて久しいのですが、つい先日も、廃棄処分されるはずのビフカツが、平然とスーパーに出回っていました。偽装は後を絶たず、中国の食の危険を指摘する前に自国の管理徹底と扱う方々の指導強化をお願いしたいと感じました。目先の金銭に目がくらみ、大切な事に考えが及ばないのは、食を単に物と考えるからです。法然上人は、生きていくためには当然、食べ物がなくてはならないのに、本来は食べるべきではないとおっしゃっています。ここに、法然上人の両親に対する強い思いがあります。わが子のためなら、この命まで捧げようとする親の恩を今、目の前の食事に感じ取ります。この命、身体は、両親より受け継いだもの、決して粗末にしてはならない尊い存在だということです。それこそが、動物にも前世の父母の姿なりと、一切の衆生はことごとく仏だととらえる仏教の真の教えです。法然上人は、戒律を厳格に守る方でした。戒律の第一番は、不殺生戒、すなわち、生きとし生けるものを殺さず、むやみに殺生をするなかれです。これは、命を軽んじてはならないという教えです。自身の命が大切であると同時に、他の命も大切にするということです。
左記の通り春の彼岸法要を勤めます。お彼岸は、昼と夜がちょうど半分、つまり太陽が真西に沈む、西方浄土に思いを寄せる、大切な時です。この命、身体を支えて下さる、すべての生きとし生けるものに、ご先祖や家族、仏様に、是非ご家族皆様、おそろいで感謝の祈りを捧げましょう。
合掌
記
●三月十九日(土) |
午前十一時半 昼食接待
午後十二時 武藤尚志講演
十二時半 説教(住職、阿弥陀院)
一時半 彼岸施餓鬼法要
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