圓福 第86号
謹啓 お盆も過ぎて、ようやく、朝晩、少し過ごしやすくなって参りました。暑さ寒さも彼岸までです。もう少しで、美しい秋がやってきます。
皆様におかれましては如何お過ごしでしょうか、お伺い申し上げます。
さて、今回も前回に引き続き、法然上人のお言葉から、私達の日常生活のあり方を学びたいと思います。
詮ずるところは、まめやかに仏の御心にかなわん事を思いて、内に誠を起こして、外相をば機嫌に随うべきなり。機嫌に随うが善きことなればとて、やがて内心の誠も破るまでふるまわば、また、至誠心欠けたる心になりぬべし。
「結局、真面目に仏さまのお心に叶うようにと思って、内心には、嘘偽りの無い真実誠の心を起こして、外面には、その時々に応じて行いなさい。だからといって、内心の心まで悪くなるような振る舞いは至誠心が欠けてしまいます。」
お寺には、様々な問題を抱えて、苦しんでおられる方のために、悩み事の相談を承っています。もう何年も前のことですが、ある奥様が、主人と別れたいと、その理由などを話され、私は、ただ、そうでしたかとうなずいて聞いておりました。奥様は、すっかり自分の思いをお話しになるとすっきりして帰って行かれました。その後、弁護士を立て、ご主人に離婚届に署名捺印をするように送付されたようで、驚いたご主人は、すぐに奥様に電話をされ、突然、お寺に来られて、「住職が、離婚すれば良いと言ったそうじゃないか。お寺は人に不幸を与えるところなのか」とすごい剣幕でした。私は、ただそうでしたかと聞いていただけなのに、奥様は、住職も納得してくれて、応援してくれたと、思われたのでしょう。私は、事の次第をお話しして、嘘偽り無い心をお話ししました。すると、ご主人は、自分が間違っていたと謝られ、私も誤解を招くようなことを詫びて、奥様にお越し頂き、今度は、こちらからちゃんとお話をしました。今は離婚も無く、ご主人も仕事に精をだして、仲良くされています。
時に、心を開いて、色々と話したくなることもあるでしょう。また、その愚痴を聞いてあげるのも家族であり、親友の役目でしょう。けれども、間違っていると思うことは、心を込めてお話することも大切なことです。自分の心に嘘をつくことは、結局、仏さまのお心を裏切る事となり、善い人生を歩むことは出来ません。時には、その場に流されることがあっても、心は常に清らかでいたいものです。そのためにも感謝の気持ちを持てるよう是非、左記の秋彼岸施餓鬼法要に皆様、お揃いでお参り下さいますようご案内申し上げます。
合掌
記
●九月十九日(土) |
午前十一時半 昼食接待
午後十二時半 住職他説教
一時半 彼岸施餓鬼法要
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