圓福 第81号
謹啓 ここ何年か、局地的な大雨の被害が各地で起こるようになりました。今年は、広島で多くの方々が被災し、亡くなられました。心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。九月は、秋雨前線と台風の季節です。これ以上の被害が無いように祈るばかりです。
さて、今回も前回に引き続き、法然上人のお言葉から、私達の日常生活のあり方を学びたいと思います。
足なえ、腰いたる者の、遠き道を歩まんと思わんに、叶わねば船車に乗りてやすくゆく事、これ我が力にあらず、乗り物の力なれば他力なり。
「足も弱って、腰も痛い人が、遠い道のりを歩いて行こうと思っても、難しいことでしょう。無理だと思えば、船や、車に乗って行けば、たやすいことです。これは、自分の力ではありません。乗り物の力によって遠いところまで行くことができたから、これを他力というのです。」
去る、八月二十四日、大阪の道頓堀あたりに点在する、六体のお地蔵さまを、時折激しく降る雨の中、修験者や真言宗の方々百人近くで、最後の法要も含め、約七時間、歩いたりお経をあげたり、供養をさせて頂きました。そして次の日は、東京へお説教をして、その日に岡崎市へ戻りました。新幹線を使ったので、時間にもゆとりがあり、大変楽に行き来できました。いつもは、費用の節約と、自家用車で行き来しますが、高速道路を何時間も運転するのは、目も腰も疲れ、さらに事故に遭わないかと常に神経が休まる時はありません。
お金を払って、電車に乗って、目的の場所へ行った時、そこへ私は行きましたと言いますが、実は、電車を作ってくれた人、レールをひいてくれた人など、多くの人の手によって乗せて頂けたのであり、自分で行ったのではなく、行かせてもらえたのです。
今、こうして生きているのも、数え切れないほど、たくさんの命に生かされているのあり、自分を取り巻く、周りからの大きな力によって、生かされているのです。それこそが、この私の幸せを願って下さるまごころの力、嘘偽りない、仏さまの真実他力です。
日頃、感謝を忘れがちな私達です。お盆が過ぎると、また、いつもの生活が始まります。今も振り向けて下さる、仏様の真実他力に気づき、手を合わせ、感謝の気持ちをお供え致しましょう。左記の通り、秋の彼岸施餓鬼法要を勤めます。是非、皆様、お揃いでお参り下さいますようご案内申し上げます。
合掌
記
九月十九日(金) |
午前十一時半 昼食接待
午後十二時半 住職他説教
午後一時半 彼岸施餓鬼法要
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