圓福 第70号
謹啓
梅雨の合間の日差しは、真夏の厳しさを感じさせます。早いもので、今年も、もう半年が過ぎました。皆様におかれましては、いかがお過ごしでしょうかお伺い申し上げます。
さて、今回も前回に引き続き、法然上人のお言葉から、私達の日常生活のあり方を学びたいと思います。
念仏申さん者は、只生まれ付のままにて申すべし。善人は、善人ながら、悪人は悪人ながら、本のままにて申すべし。
此念仏に入るの故、始めて持戒、破戒なにくれと云うべからず。
只、本体ありのままにて申すべし。
「念仏を称える人は、ただ、生まれたままの状態で称えなさい。善人は、善人のまま、悪人は、悪人のまま、本来の自分のままに称えなさい。
このたび、念仏を始めるに当たり、戒律を守り、破ってはいけないとか、あれこれ言うのではなく、ただ素直に、自分の本当の姿で称えなさい。」
私たち浄土宗では、真宗の方々と違い、僧侶の資格を得るには、戒律を授けられ、修行をして、認められます。 修行中は、毎日何回も、本堂に入る前に、外で水をかぶり、お香を口に入れ、体につけて、煙をまたいで、身を清めてから、お経を称えます。 肉や魚は口にせず、質素な精進料理で、普段の生活と全く違う、慣れない毎日です。 逃げだそうにも逃げられない、最後までやるしかありません。 ところが、いくら表面的に、体を清めても、心の中は、そうはいきません。 もやもやといろんなことが浮かんできます。心の中の悪い自分が出てきます。
人は、誰も、悪人で生まれてきません。 成長するに従って、自分にとって都合のいいように、楽を考えて悪い心を身につけてしまいます。
法然上人は、この言葉で、「そのままでいい、自分を繕っていいかっこしても、心が汚れていれば何もならない。 その身そのまま手を合わせれば、自分の汚くなった心に気がつくでしょう。 そうすれば、本当の自分に素直に向き合える、それが念仏だよ」と教えて下さっています。
今年もお盆を迎えます。左記の通り、盆施餓鬼法要を勤めます。 先立たれた方々に、ありのまま、素直な自分で感謝の心ををお供え致しましょう。 今回も、平日となりますが、是非みなさまお誘い合わせ、お参り下さい。
合掌
---------- 記 ----------
2012年 7月19日(木)
午前11時30分 昼食接待
午後12時30分
住職、他二人説教
1時30分 盆施餓鬼法要