HOME | 季刊「圓福」 | 第130号

圓福 第130号

圓福 第130号

謹啓 毎年、雨の多い時期になると、『線状降水帯』という言葉を耳にします。平成二十六年の広島での集中豪雨以降、使われる様になったそうです。地球温暖化の影響が深く関わっているようで、やさしい小雨の梅雨が無くなってきたように思われます。蒸し暑い毎日が続いておりますが、如何お過ごしでしょうか、お伺い申し上げます。
 
さて、今回も法然上人のお言葉から、私達の日常生活のあり方を学びましょう。
 
「人の手より物を得んずるに、既に得たらんと、未だ得ざるといずれか勝るべき。源空は既に得たる心地にて念仏は申すなり。」
「人から物を頂こうとする時、もうすでに、頂いたと思うのと、まだ、頂いていないと思うのとでは、どちらが、すぐれているのでしょうか。この私、源空は、すでに、もう頂いたとの思いで、お念仏を称えています。」
 
法然上人は、源空という僧名です。このお言葉は、法然上人が、もう既に極楽に往生させて頂いたとのお気持ちで、お念仏を称えておられたというお言葉です。 ある人が、建築現場の前を通った時、どんな建物が出来るのか気になって、そこで仕事をしている方に尋ねました。「ここに何が出来るのですか」「さあね、監督さんの言う通り仕事しているだけだから」うるさそうに言われるので、指示を出している人に再び同じように質問をしました。すると、「工程表通り、工事が遅れないよう監督しているだけ、施工会社にでも問い合わせて下さい。」と煙たそうに言われました。興味本位で尋ねたばかりに、仕事の邪魔をしたと残念そうにその現場から帰ろうとした時でした。明るい笑顔で道具や資材を運ぶ若者が、目にとまりました。こちらの視線に気がつくと、にっこりと笑顔で挨拶をしてくれました。やっぱり、気になっていたので、その若者に近づくと「ここに何が」話しかけるやいなや、「ここにね、みんなが集まれる立派な建物が出来上がるんだ。きっとおじさんも嬉しくなるようなすごく良い建物だよ。わくわくするでしょ」そう言って小走りに荷物を抱えて現場に向かって行きました。そう言われてこの人は、まだ、建物も出来上がっていないその場をもう一度ゆっくり眺めて見ました。すると、なんとなく、見たことも無いような立派な建物が建っているようで、なんだかわくわくと嬉しくなって、その場を立ち去りました。
これは、法然上人のお言葉から、私が、創作した話です。宝くじを買って、当選番号が発表されるまでの気持ちと似ているかも知れません。
法然上人は、膨大なお釈迦さまの教えの中から、万人が救われる教えを見つけられ、亡くなる直前まで、揺るぎの無い心で自ら実践し、伝え続けられました。毎日が幸せで、安心した心で、念仏の生活をされていた事が、このお歌からわかります。私達は、ついつい目の前のことに、一喜一憂してしまいます。幸せは求めても得られず、気づいた時が幸せとは、名言です。先立たれた尊い家族は、いつもどんな時も私たちの幸せを心から願い続けて下さっています。
下記の通り、そのご恩に、感謝の祈りを捧げる盆施餓鬼の法要を勤めます。是非ご家族、ご近所、お友達もお誘いあわせてお参り下さい。      

合掌

七月十五日(祝)


午前十一時半

昼食接待

午後十二時半

住職、阿弥陀院住職説教

午後一時半

盆施餓鬼法要